立ちどまるから見えてくる

ブナの美林

本日は奥入瀬渓流以外のフィールドのご紹介です。

南八甲田山麓にある「蔦野鳥の森」。
日本を代表する落葉広葉樹 ”ブナ” の森が広がる、美しいフィールドです。
歩きやすい(奥入瀬渓流よりは多少アップダウンあり)遊歩道が整備されており、約2.9kmで一周出来るコースが整備されております。歴史ある一軒宿「蔦温泉旅館」があり、宿泊と日帰り入浴も楽しめます。

秋の紅葉名所でもある蔦沼をはじめ、いくつかの湖沼が点在し、変化に富んだ自然美を一年通じて愉しめる場所です。
私にブナの森の美しさを教えてくれた、思い出深い森です。

最初の鑑賞ポイント:ひょうたん沼(5月下旬から6月にかけてモリアオガエルの産卵が観察できます)

蔦の森を歩く際、反時計回り(蔦沼から)と時計回り(ひょうたん沼から)の2パターンあります。どちらも一周するので、見るところは一緒ですが、蔦沼は最後に見た方が印象深くなるので個人的には時計回りをお勧めします。

菅沼:オシドリが雛を8羽連れていました。平伏しながら身を隠しながら泳いでいる♀の姿が印象的です
地衣類を食べている陸産貝類のキセルガイの仲間

長沼:この時期は雪解け水で陸地が水没しています

トチノキ、サワグルミの埋没林が素晴らしい景観をつくっていました。
昨冬は雪が多かったので、久しぶりに東屋付近まで水が来ています。
春の長沼は埋没林が美しい。

長沼:少し上から俯瞰した時の色合い

少し上から長沼を見ると、深みのあるエメラルドグリーン見えます。
新緑の葉の耀きも相まって、息を飲む美しさでした。

ブナの巨木たち①威風堂々
ブナの巨木たち②女性的な佇まい
月沼:紀行作家・大町桂月が愛した沼。蔦沼の水源です。
鏡沼:人造の沼ですが、時が経つにつれ、周りの自然と一体化しており美しい。造った方のセンスが秀逸です。
鏡沼:真ん中のオオカサスゲに光が当たり、コントラストが美しい。
蔦沼川:蔦沼から流れる川。ここの景観も美しいです。
最後に現れる蔦沼。ワタクシ1,000回以上訪れていますが飽きることなく、毎回違う表情を見せてくれます。

森にはそれぞれの魅力があり、顔(表情や印象)があります。

あくまで個人的な所感ですが、
奥入瀬渓流が「流れ」や「多様性」、「ダイナミズム」といった印象を受ける動的な場所とすれば、
蔦の森は、人と森が対峙する場所。
ゆっくり森と向き合う時間が流れている…そんな大切な場所です。

新緑から初夏に向かう蔦の森も、この地を訪れた方々には、ゆっくりと歩いて欲しいです。

奥入瀬ネイチャーガイドFORESTONではプライベートツアーで「蔦の森」をご案内しております。
ゆっくりブナの森を歩きたいという方におすすめですよ。

森に浸かり、蔦の出湯に身をば清めて

ネイチャーガイド:丹羽