立ちどまるから見えてくる

雨の日こそ美しい奥入瀬渓流

初めまして!奥入瀬ネイチャーツアーFORESTONのネイチャーガイド、渡邉です。
これから定期的にこちらのブログを書いていきますので、どうぞよろしくお願いします!

今月は、数日しか雨が降らなかった5月と比べて、雨の日が多くなっています。
実際に奥入瀬渓流のある青森県も、今週末には梅雨入りする見込みです。

一般的に雨というと、どちらかといえばマイナスなイメージを持たれることが多いかもしれません。
特に観光で訪れた方の中には、「せっかく来たのに雨なんて……」と思われる方もいらっしゃると思います。

ですが、実は雨の日こそ、奥入瀬渓流の魅力が最も輝く瞬間なんです。

奥入瀬渓流は日本蘚苔類学会が選定する「日本の貴重なコケの森」に選定されています。
そんな貴重なコケの森に生える約300種のコケたちは雨に濡れ、みずみずしく鮮やかな緑色に輝きます。
雨の日はついつい足を止めてコケを観察してしまいます。
ルーペでのぞくと、配偶体や胞子体の先端には小さな水滴がつき、まるで宝石のようです。
時には鏡のように周りの景色を映し出していることもあり、何度見ても飽きません。

【写真:雨に濡れてみずみずしいオオトラノオゴケとヒラハイゴケ】

また、雨の日には木の幹を伝って流れ落ちる「樹幹流(じゅかんりゅう)」を見ることができます。
一見ただの雨水に見えますが、森の中に水を届け、生き物たちを潤してくれる大切な存在です。

そんな雨の恵みを受けて、樹幹に付く地衣類も、内部の藻類が鮮やかな緑色を帯びてきます。
普段は灰色がかって見えるものが多いため、その変化を実感しやすいのも雨の日ならではです。
幹を伝う樹幹流を眺めながら、そのすぐそばで色づく地衣類を観察していると、雨が森にもたらす恵みをより身近に感じることができます。

【写真:地衣類の乾いた姿と雨に潤う姿】
【写真:地衣類の乾いた姿と雨に潤う姿】

雨の日の奥入瀬渓流には、この天気だからこそ出会える特別な景色が広がっています。

個人的には、生き物たちの姿だけでなく、雨の森の匂いや雨粒が木々に落ちる音も大好きです。
奥入瀬渓流での雨は、視覚だけでなく、嗅覚や聴覚でも自然を楽しめる最高の天気だと思っています。

調べてみると、雨粒が土や植物に当たることで生まれる香り「ペトリコール」と、
樹木が発散する「フィトンチッド」が混ざり合うことで、リラックス効果をもたらすと言われています。
さらに雨音には周囲の雑音をやわらげ、心を落ち着かせる効果も期待できるそうです。

そんなことを知ると、雨の日の奥入瀬渓流を歩くのがより楽しみになりますね。

「雨だから残念」ではなく、「雨だからこそ美しい」。

そんな雨の日の奥入瀬渓流の魅力も、ぜひ体感しに来てください。
皆さまのお越しをお待ちしております。



ネイチャーガイド:渡邉